20代の若者にとって派遣社員は、正社員として内定が貰えず妥協した選択肢という場合が多く、同年代のほとんどの人が正社員を目指す中、派遣の道を選ぶことは自分のキャリア形成においてリスクが伴う選択と映るかもしれません。
しかし、この選択は本当に「もったいない」のでしょうか？
派遣社員として働くことは、周囲からのイメージダウン、昇進の難しさ、不安定な雇用などのデメリットなどがある一方で、未経験の分野に足を踏み入れる容易さや、多彩な業務を通じたスキルアップの機会を得られるなど、様々なメリットもあります。
この記事では、そういった20代で派遣社員として働くことのリアルなメリットとデメリットを、専門的な視点から深く掘り下げ解説します。
また、派遣社員が向いている人と向いていない人の特徴や、将来的なキャリアを見据えた賢い選択をするためのヒントなどまとめてご紹介しているので、ぜひ今後の自分のキャリアを考える上での参考にしてください！
20代で派遣社員になるのはもったいないのか？
20代の若者がキャリアを考えるうえで派遣社員として働く選択肢は「もったいない」のでしょうか？この疑問に対して、実際のデータと20代が派遣社員を選ぶ理由を基に考察します。
参照元：派遣労働者の属性（厚生労働省）
参照元：派遣労働者として働いている理由（厚生労働省）
20代で派遣社員として働く人の年代別割合
最近の調査によると、20代で派遣社員として働く割合は年代別に見ると減少傾向にあります。
年代別の割合では、2022年時点で20～24歳が全体の3.5%、25～29歳で全体の9.1％といった感じです。
20代の派遣社員割合が2004年では35.5%、2012年では20.2%だったことを考えると大幅に減少しており、コロナなどの社会的不安から逃れるために正社員雇用という意識が高まっているのも1つの要因かと思います。
ここ数年で実際に私も正社員希望の転職相談が増えていると感じています。
20代で派遣社員として働きたい理由を明確にする
20代が派遣社員を選ぶ理由として共通して挙げられるのは「柔軟性」です。
理由は様々ですが、未経験の職種に挑戦しやすい、働き方や勤務地を選べる、プライベートとのバランスを重視できるなど、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるため派遣社員という選択をする人がいます。
年代別になっていませんが、厚生労働省の調査結果を見てみても、「自分の都合のよい時間に働きたいから」という理由が30.8％と一番高くなっています。
ですが、次に多い理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」の30.4％となっており、正社員を希望しているのに正社員として働ける仕事がないという事実もあるようです。
このように、20代で派遣社員として働くことは一概に「もったいない」とは言えない側面もあります。多彩な経験を通じて、自分に合った働き方やキャリアを見つけるための一つの手段として、派遣社員という選択肢もあるということです。
20代で派遣社員になるメリットとは？
20代で正社員から派遣社員に転身することには多くのメリットもあります。以下で５つの派遣社員という選択がもたらすメリットをご紹介します。
未経験でも就職しやすい
20代で派遣社員としての最大のメリットの1つは、未経験の職種でも就職しやすいことです。
多くの派遣会社は若年層に対しての場合、特定のスキルセットよりも、柔軟性や学習意欲を重視します。これにより、異業種への足掛かりとしては派遣社員のポジションが理想的とも言えます。
不満があれば職場を変えやすい
正社員に比べて、派遣社員は職場を変えることが容易です。
不満が生じた場合や、より良い機会を求める場合に、柔軟に対応できます。この柔軟性は、特にキャリアの初期段階で自分に合った仕事を探している20代にとって、大きなメリットとなります。
自分の時間が確保しやすい
派遣社員は、プロジェクトベースや短期契約で働くことが多く、これによりプライベートの時間を確保しやすくなります。
ワークライフバランスを重視する人にとって、この柔軟性は魅力的です。
多様な業務に携わることでスキルが身に付く
様々な業界や職種での経験は、幅広いスキルセットの獲得につながります。
このような多様な経験は、将来のキャリア形成において貴重な資産となり得ます。
大手企業ではたらくチャンスがある
派遣社員として働くことで、大手企業での職務経験を積むチャンスが増えます。
直接正社員として採用されるのが難しい企業であっても、派遣社員として実績を積み、将来的に正社員への道を開くことが可能です。
このように、20代で正社員から派遣社員になる決断は、キャリア形成における大きな手段となり得ます。
自分のキャリアパスを考え、多様な経験を積みたいと考えているのであれば、派遣社員として働くことは有益な選択肢ともいえます。
20代で派遣社員になるデメリットとは？
上のセクションで20代で正社員から派遣社員に転身することのメリットをお伝えしましたが、多くのデメリットもやはり存在します。
これらのメリット・デメリットを理解し、自分の今後のキャリアパスを考えてみて下さい。
周囲のイメージが良くない
残念ながら、派遣社員に対する社会的な認識は肯定的とは限りません。
正社員と比較して不安定な雇用形態と見なされることが多く、派遣社員として身に着けるスキルセット次第ですが、
このようなイメージは正社員として再就職を検討する場合に大きく影響する可能性があります。
昇進がしづらい
派遣社員はプロジェクトや契約ベースで働くことが多く、その結果、組織内での昇進の機会が限られます。
長期的なキャリアアップを目指す場合、この点は大きな障害となります。
雇用が安定しない
派遣社員の最も顕著なデメリットは、雇用の不安定さです。プロジェクトが終了すれば、次の仕事を探さなければならず、これが精神的なストレスにつながることも少なくありません。
派遣会社のサポートはもちろんありますが、私の友人もプロジェクトの急な中断により、新しい雇用先が見つかるまで1カ月程度無職状態になり家計に苦しんでいました。
同じ職場で働ける期間に満期がある
多くの派遣契約には、一定期間後に終了するという条項が含まれています。これは、長期的なプロジェクトやチームへの貢献を望む人にとっては大きなデメリットとなります。
また、居住地から近場に良いプロジェクトが見つからず、遠方の会社にアサインされてしまうと、移動時間が増えたり、引っ越しを考えたりと仕事以外でストレスに感じることが多くなる場合があります。
将来的に後悔する人が多い
不安定な雇用形態やキャリアアップの機会の欠如は、後になってから「もっと早く正社員としてのキャリアを追求していればよかった」と感じる原因となることがあります。
これらのデメリットを考慮すると、20代で派遣社員になることは、自分で事業を作ってみたいなど、一部の人にとっては適切な選択かもしれませんが、
長期的なキャリアの観点から見ると、よく考える必要があります。重要なのは、自分の将来の目標と現在の選択がどのように連動しているかを理解して賢明な決断を下すことです。
派遣社員が向いている人の特徴
ワークライフバランスを大切にしたい人
ワークライフバランスを重視する人にとって、派遣社員は理想的な働き方です。
派遣社員は、プロジェクト単位や契約期間が決まっているため、仕事とプライベートの時間を明確に分けやすく、自分の時間を大切にしたい人にはぴったりの働き方です。
人間関係で悩みたくない人
次に、新しい環境や人間関係にストレスを感じやすい人も、派遣社員としての働き方が合っていると言えます。
派遣社員は職場が頻繁に変わることがあるため、一つの職場に留まって人間関係の悩みが深まることが少なく、フレッシュな環境で働き続けることができます。
さまざまな仕事を経験したい人
多様な業務に携わり、様々な経験を積みたいと考える人にとっても、派遣社員は適しています。
派遣社員は異なる職場で様々な業務に挑戦する機会が多く、幅広いスキルや知識を身に付けることができるため、自己成長を望む人には最適な働き方です。
派遣社員が向いていない人の特徴
雇用を安定させたい人
安定した雇用を求める人にとって、派遣社員はおすすめしません。
派遣社員の契約は一時的であり、プロジェクトが終了すれば次の仕事を探さなければならない場合がほとんどです。このような不確実性は、安定を求める人にとっては大きなストレス源となり得ます。
社内昇格を目標にしている人
キャリアアップや社内での昇格を目指す人にとって、派遣社員としての働き方は不利な場合が多いです。派遣社員はその性質上、正社員と比べて昇進の機会が限られていることが多く、長期的なキャリア構築には向いていないかもしれません。
特に、組織内での地位や責任あるポジションを望む人にとっては、派遣ではなく正社員への道を選択する方が適しています。
以下の記事では20代で派遣社員から正社員を目指す人の転職方法などまとめていますので、こちらもご興味があれば是非ご覧ください！
20代で派遣に関するよくあるQ＆A
20代で派遣社員として働くことに関心がある人のよくある質問とその回答を5つご紹介します！派遣社員を検討している人には、役立つ情報になっていると思うので、是非最後に見て行ってください。
Q1: 20代で派遣社員になるメリットは何ですか？
20代で派遣社員になる最大のメリットは、未経験の職種にチャレンジしやすい点、職場の不満があれば比較的容易に転職できる点、プライベートの時間を確保しやすい点、多様な業務を経験することで幅広いスキルセットを身につけられる点、大手企業で働くチャンスがある点です。
Q2: 派遣社員の雇用は不安定と聞きますが本当ですか？
派遣社員の雇用はプロジェクトや契約期間に基づくため、正社員と比較するとやはり不安定です。しかし、多くの派遣会社が継続的な雇用機会を提供するためのキャリアサポートも並行して行っているので、20代のうちは業界未経験でも雇用は安定しやすい方です。
Q3: 派遣社員として多様な業務を経験することのメリットは？
多様な業務を経験することで、異なる業界や職種での仕事の流れ、専門知識、スキルを学ぶことができます。これは、将来的にキャリアチェンジを考えている場合や、自分の強みを見つけたい場合に非常に有効です。
Q4: 派遣社員が直面する一般的な課題は何ですか？
派遣社員は、職場での立場が不安定であること、正社員と比較して昇進の機会が少ないこと、雇用の安定性に欠けること、期間限定での雇用が多いことなどが主な課題です。
Q5: 派遣社員として働き始める前に考慮すべきことは？
派遣社員として働く前には、自分のキャリア目標とどのように一致するかを検討し、派遣社員の立場で得られる経験が将来のキャリアにどのように役立つかを考えることが重要です。また、派遣会社を選ぶ際には、サポート体制や提供する仕事の種類をよく調べることも大切です。
まとめ
将来のキャリアを見据えた職業選択が20代の人にとっては非常に重要です。この時期になされる決断は、長期的な個人の成長に大きな影響を及ぼします。
派遣社員としての働き方もその一つの選択肢なので、選ぶ際には自分自身のキャリア目標やライフスタイルの希望を慎重に考慮するようにしてください。
結局のところ、派遣社員として働くことが「もったいない」と感じるかどうかは、個々の目標、価値観、ライフスタイルによって異なりますが、
自分にとって何が最も重要かを理解し、その上で職業選択を行うことが、充実したキャリアを築くための鍵になります！